確定申告と年末調整の誤差について


 給与所得者しかない者でも、年末調整と確定申告では所得税額に差額が生じることがあります。

 これは、用紙の百円未満切捨をする場所が違うためです。

例えば、給与収入1,234,567円(給与所得控除後の金額は584,567円になる)、源泉徴収税額20,000円の人を例に考えてみましょう。
この場合、所得控除は基礎控除380,000円しかないものとします。
すると、給与所得控除後の金額584,567−基礎控除380,000=課税される所得金額204,000円(千円未満切捨)となります。
これに所得税率10%を乗じると、差引所得税額20,400円になります。
さらに定率減税20%を乗じると、4,080円となりますね。そして源泉徴収税額は20,000円です。

つまり還付となる場合、確定申告では1度も百円未満切捨をしないので、わずかですが年末調整と比べて損をしてしまいます。

この点については私も疑問に思い、渋谷税務署と新宿税務署に電話で訊いてみました。
どちらも最初はこの忙しい時になにを馬鹿なことをいっているんだといわんばかりでしたが、私が具体的に数字をあげて質問すると、今度は答えられなくなってしまい、かなりしばらくしてから条文にはなにも書いていないので、根拠はありませんが仕方がないんです、といった回答がありました。

全く同じ所得であるにかかわらず、同じ所得税法という法律に従って計算しているにもかかわらず、年末調整用と確定申告用の税務署配布用紙のせいで、わずかとはいえこのような税負担に違いがでるというのは理論的にはどう考えてもマズイとしかいいようがありません。

現場の無用な混乱を防ぐという意味でも、国税庁は少し配慮が足りないと思います。

 来年の確定申告では、年末調整と同じく定率減税後に百円未満の端数切捨をして、同一所得者に対する同一税負担を実現する事により、きちんと課税の公平化を図ってほしいと思います。
(毎年おなじ事を書いているんですけどねえ・・・。)